2008年04月28日

書評【高速バス】

今月初め、都市交通問題研究者の堀内重人さんが、新刊を出された。
その名も「高速バス」版元はバス専門書に定評のある、グランプリ
出版からである。

http://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0108854432

なぜ、拙ブログでこの本を取り上げるのか?その答えは、第7章
「台湾の高速バス事情」と銘打ち33ページにわたって、台湾の
バスについて取り上げられているからである。これまで、台湾の
バスに関して、バス専門誌の記事や、交通関係の学術雑誌で論文
として取り上げられたことはあったが、日本語の書籍としては、
おそらく初の快挙であろう。中身は無論のことボリューム感も
充分だ。著者自らの現地調査に基く、写真や資料も含めた豊富な
事例紹介が盛り込まれている。


特徴的なのは、台湾の高速バスを高鉄や航空、台鉄といった、
競合交通機関と対比させて論じている点であろう。特に、昨年
高速鉄路が開業して以降、台湾の都市間旅客輸送サービスは
大きな変革の渦中にある。昨秋より運行の始まった和欣客運の
白金臥艙や、北宜國道の葛瑪蘭客運や首都客運の路線について、
このような観点から論じられており、違った角度から見られて
興味深かった。

また巻頭で述べられているように、この書籍全体を通して、
昨今のバス規制緩和を念頭に展開されている。著者の視点
として、日本においては価格競争指向が強いことに対し、
台湾ではサービス競争指向が強いとの指摘をされているのが
印象的であった。

唯一残念なのは、台北〜宜蘭(山線)の路線について、台湾
客運から尊龍客運に移管され、2006年末に廃止されるまでの
経緯が整理されていない点である。この路線は一時期、尊龍
客運が福和客運に大部分の便を運行委託して時期があったの
だが、その点と國光客運には路線を再移管せず山線は廃止し
ている点に誤認が見られる。また同時期、台北〜宜蘭〜花蓮
に福和客運の海線が運行されていたのであるが、この路線は
同社が独自に参入し、路線そのものの不採算と大有巴士グル
ープ自体の経営悪化とによって、一方的に退出した路線で
あり、台湾客運時代から運行され國光客運にも引き継がれた
台北〜宜蘭〜羅東(海線)の路線とは、直接の関係はない。
瑣末な点ではあるが、ここで指摘するとともに、私自身、
きちんと整理して、いずれ当ブログなどで発表したいと考え
る次第だ。

上記の点だけは批判させて頂いたが、全体としては、とても
興味深い一冊である。交通書を取り揃えている書店、東京駅
八重洲口の榮松堂、神保町の書泉グランデ6Fや梅田の旭屋
書店などでは平積みになっている。その他大きな書店の店頭
でも見かけることはできるので、是非お手にとっていただき
一読されることをお勧めしたい。
posted by asiabuscenter at 23:58| 台北 ☁| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんと、こういう書籍が出版されたのですか!
いつか読んでみたいですね。

しかし、台湾のバスについてなら、ASIA BUS CENTERさんも書いて出版する!
というのは如何でしょうか?
Posted by ももママ at 2008年05月06日 00:14
ももママさん、書き込み感謝〜です。
>台湾のバスについてなら、ASIA BUS CENTERさんも書いて出版する!

ありがとうございます。現在は機会を伺っているところです。
興味をお持ちになった編集者さんは、是非ご一報ください。

Posted by ASIA BUS CENTER at 2008年05月06日 15:09
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